肉よさらば

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輪るピングドラム考察

 

 せっかくなのでキーワードごとにちょこっとまとめてピングドラムという作品を理解した気になって次に行こうと思う。(宗教的観点多め)

 

 

基本的にはここを読ませてもらいました。加筆したら上げ直しますhttp://www48.atwiki.jp/penguindrum/pages/36.html 

輪るピングドラム・考察資料集 wiki

 

 

銀河鉄道の夜

 観てる間は一切気付かなかったが、さっき考察サイト回ってみたらどこも昔教科書でも読んだ宮沢賢治銀河鉄道の夜をモチーフにしてるって書いてた。なるほどなるほど、当てはまる箇所も多そうだし1話の最後の少年や最終話にそんな感じのこといってた。鉄道での話も多い。となると晶馬と冠葉が(ジョバ)ンニと(カンパ)ネルラってことになる。最後の二人はきっと死後の世界へと向かってるのかな。ピングドラムの最後も死んだ先への物語があるという結末なので通じる。

 

地下鉄サリン事件

 やたらでてくる95という数字。95年3月20日に起こった地下鉄テロは現実に起こったオウム真理教信者により起こされた地下鉄サリン事件の日付と一致する。モデルとなっている鉄道も被害路線の一つらしい。高倉も麻原と近いっちゃ近い。

 

ピングドラムとは

 話の中核にもなってそうなもの。綴りは公式サイトのURLにもあるしpenguindrumと書く。飛べない鳥、ペンギンと円筒形のもののことをいう。「何にも成れないお前たちに告ぐ」なんて台詞があるし、何かになろうとするもの、飛ぼうとするものかもしれない。

 作品中では割と直接的にでてくる。

・プリクリ様がピングドラムは苹果が持っていると言ってる。

・檻の中で冠葉が晶馬に渡したリンゴ。

・子どもブロイラーで晶馬が陽毬に分け与えたもの。

・眞利が「こいつを忘れちゃだめだよ」と陽毬に投げたリンゴ。

・最後に晶馬が自分の胸から取り出し陽毬に渡したものだ。

 本当にピングドラムがくるくると渡されていって回ってる。リンゴといえば旧約聖書では禁断の果実のメタファーとしてよく用いられる。簡単に説明すればイヴがヘビにそそのかされて食べちゃったリンゴのこと。リンゴを食べたことで欲望が生まれ、神様から罰として天国を追放されてしまう(楽園追放)とすればきっと欲望のこと。

 誰かを求める気持ち、欲望では枠が広すぎるのではっきりとした形を与えるとしたら愛かな。(最終回のタイトルもそうだしね)林檎だったものがいつのまにか赤い球になってるのを見ると欲望だったものを愛に昇華させて渡したのかも。

  この作品の3兄弟たちは出生において親からの無償の愛を受けることができなかった者達だ、そして彼らは自分から求めようとせず自己犠牲の精神に成り立ってる。そして、苹果ちゃんは田蕗や晶馬っていったところに愛を注ぐ生き方をしてると思う。きっとプリクリ様が言っていたピングドラムを手に入れろっていうのは苹果ちゃんのような生き方を手に入れろって言うことなんだと思う。

 

罪と罰

  この物語はどうやら愛というテーマだけでなく罪と罰にも焦点が当てられている。作品中でも陽毬は「私たちは生まれながらにして罰を受けているんだね」的なことをいってる。これは先ほど書いた楽園追放されたあと地上で生きることこそが罰というもの。また禁断の果実を食べた時に神に仕える忠実な人間ってあったはずのアダムとイヴが欲望を手に入れてる。これが7つの大罪(傲慢・物欲・嫉妬・色欲・貧食・怠惰・憤怒)。

 4人だけがペンギン達を持っておりそれらが飼い主本人のことを表しているので、これが彼らの罪として特徴を表すメタファーになってそう。絆創膏を貼ってる冠葉のペンギンはお姉さんの水着写真もってたりエロ本鑑賞してたりするし、色欲の感情を強くもってることを表している。晶馬のペンギンは良くもの食ってるし、本人もよく飯で人を釣ったり、ちょいちょい大食いなシーンがあるので暴食。残り2人は多分陽毬は物欲で真砂子は嫉妬。

 

 作品中では7つのガンジーの社会的大罪はでてきてるからこっちのほうかもしれない。この作品は物語の趣旨と合致している戦争では何も解決しないと訴えた非暴力主義であるガンジーを意識してそう。(社会的大罪はよくわからないのでそのうち読んでみよう)

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 また、メインの話に関わる部分として3兄弟は罪の意識を感じてる節がところどころにでてきます。

 冠葉にとっての罪は妹として家族に迎えた陽毬に対して異性として意識してしまっていること。晶馬にとっての罪は親が犯罪者であり多くの人々を殺してしまったこと。そして陽毬が死んでしまったことがその罰だと思い込んでしまっている。陽毬は図書館で挙げられた母親とのことやトリプルHのことを未だに罪であり罰だと思っている。そういった日々起こることを「生きていることは罰を受けるということ」と言った。

 そして、無償の愛を元に一緒になって解決してくれる人の存在によって許されるという話かな。

 

 

 

 

●桃果と眞利

 眞利とはKIGAの会の一員であり、実質的に地下鉄テロを起こそうとした人物。自称選ばれし者。そして世界を壊すことで救おうとしている。桃果は逆に田蕗やユリに対してしたように愛などを与えて救おうとしている。作品中で超常現象が起きる時は大体この2人なので実際桃果や眞利は超越的な能力を保持してるのは間違いない。んでもって16年前の事件では地下鉄テロを防ごうとした桃果が運命の乗り換えをすることで防がれたが、反動として眞利は霊として、桃果はペンギン帽子として残った。 つまり、ゆりや田蕗も言っていたが桃果は死んではおらず、2つに分けられたペンギン帽子こそが桃果であり、プリンセス・オブ・ザ・クリスタル(いわゆるプリクリ様)は桃果であることがわかる。

 16年後の世界でまた眞利は冠葉や、真砂子に対して弟や妹を生き返らせることでKIGAの会の世界に引きこもうとする。

 

●運命の乗り換え

  多分運命の乗り換えと次元の違う世界線にいくこと、パラレルワールドの違う世界へと行くこと。前項目でも言ったダビデ像を消したことや、鉄道爆破のない世界(不完全)にした方は桃果が中心になってしてるらしいが。最終的には桃果の記した呪文を皆でいうことで最後に運命の乗り換えをした。

 

●かえる君、東京を救う

 陽毬が図書館で探していたもの。2ch的には「変える君、東京を救う」らしい。まあカエルが何なのかわからないから、とりあえずその解釈でいってみると。桃菓がユリを救うためにダビデ像を変えてしまったとことかが当てはまるかもしれない。また眞利が怖そうとした国会議事堂を防いでもいる。ちなみに、実際に村上春樹の短篇集に同名のものがあるらしい。これも地下鉄サリン事件をモチーフとしていて内容は突如主人公の元に現れた蛙が、地下で地震の原因となる大ミミズと死闘を繰り広げて力尽き朽ちていくというものらしい(本当は想像上の話だった)。

 

 

 

●子どもブロイラー

 実際のブロイラーも急速に成長させられるせいで病気になったものや死んだものがでて、アニメのような機械で解体されるらしい。作品中では選ばれなかった子ども達がシュレッダーによって粉々にされ透明になってしまうもの。寸前のところで田蕗が桃菓に陽毬が晶馬に救われている。なかなか残酷かつ強烈印象を残すものだったが。現代に直接あてはまるものは考え付かないにしろ、現代社会のシステムそのものだと思った。親に、スポーツで、受験で、就活で選ばれなかった人々は自分の夢や希望なんてもの諦めないといけない。そして流されるだけの透明な人間になってしまうのではないか。

 

●箱とは

  最後になってよくでてきたもの。

眞利「人間っていうのは不自由な生き物だね。なぜって、だって自分っていう箱から一生でられないからね。その箱はね、僕たちを守ってくれるわけじゃない。僕たちから大切なものを奪っているんだ」

っていっているし、箱を壊すために地下鉄テロを起こそうとした。また、最終話では晶馬と冠葉が入ってたもの。銀河鉄道におけるジョバンニもザネリによって犯罪者の息子であることを告発されようとしてる。また、晶馬も犯罪者の息子であることを悔いている。そういった人を取り巻く環境の概念的なものなんでしょうね。冠葉にとっての箱ってなんだろう。

 

●まとめ

 結局輪るピングドラムがどういうアニメだったのかというと。冒頭でも言ってた不幸な運命を受け入れようとする真砂子や陽毬やリンゴちゃんを運命に抗おうとする晶馬(傍観者的ではあるが)や冠葉がその運命を変えようとする物語だと思う。結局は冠葉がとったKIGAの会的な破壊による救い方ではなく。愛による陽毬や苹果が救われる代わりに兄弟達を失ってしまうという結末になるが。それが終わりではないし、人形には兄弟達たちの愛が残った。

 

晶馬 「つまりリンゴは愛にる死を自ら選択した者にとってのご褒美でもあるのだよ」
冠葉 「でも死んだら全部おしまいじゃん」
晶馬 「おしまいじゃないよ、むしろそこから始まるって賢治は言いたいんだ」

 

 こうも言ってるし見方によっては救われたのではないか。ED間際のキャラクター達は皆前を向いていたし。

 考察したおかげで自己完結した気になれた。が。続編があるらしいし、期待してこのしょうもない考察は終えます。長文読んでくださりありがとうございました。